投稿日時 2025-08-15 20:57:54 投稿者 ![]() てんぽたんぽ このユーザのマイページへ お気に入りユーザ登録 |
投稿者コメント | |
頼朝「随分と苦戦を強いられた……。だが、長浜城を落とし、番場で風穴を開ける事ができたのは、皆の、獅子奮迅の働きのお陰である。まことに、大義であった」 頼朝は、集まった者たちの顔を見渡し、改めて労いの言葉をかけた。 頼朝「ここで、皆の考えを聞きたい。 一旦兵を退き、態勢を整えるべきか。 あるいは、このまま目前の佐和山、そして安土まで、攻め上がるべきか」 重苦しい空気が一層濃くなり、誰も口を開こうとしなかったが――、武田梓が立ち上がり口を開く。 梓「…僭越ながら、申し上げます」 梓は静かに背筋を伸ばし、軍議の視線を一身に集めながら、落ち着いた口調で告げた。 梓「ここまで進軍できましたのも、先陣を務められた皆様方の奮戦と犠牲があってのことと、そのように心得ております。 早雲様、頼光様はすでに後退され、また、頼朝様、トモミク様の部隊も、少なからぬ損耗を被っておいでです。 その点、後から援軍に駆けつけました輝子様とわたくしの部隊は、ほぼ無傷。また、里見伏様、義経様の部隊も、兵力は十分に維持されております。 比較的余力を残した四部隊でも、六万ほどの軍勢となりましょう」 梓は義経と目を合わせ、義経は静かに頷く。 諸将は梓がこの後投げかける言葉をほぼ予想していた。 梓「佐和山城を守る織田の守備兵は少なく、織田本隊も越前での上杉軍との対峙、また我らとの戦いによる消耗により、大規模な援軍をすぐに差し向けることは、難しいはずです。 我が父祖・武田は、戦機を逃さぬを第一としてきました。 ――この好機を逃せば、敵は必ず息を吹き返しましょう。今こそ、余力ある軍勢をもって佐和山城を包囲するべきと、進言いたしまする」 梓の声は静かであったが、揺るがぬ自信と、受け継がれた武田の軍略の理が感じられた。 武田梓は、頼朝とトモミクへと視線を向ける。 |
||
最大化 | アクセス解析 | ユーザ情報 ![]() |
▽この画像のトラックバックURL▽(トラックバックについて) |