投稿日時 2025-07-22 19:00:21 投稿者 ![]() てんぽたんぽ このユーザのマイページへ お気に入りユーザ登録 |
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義経「……早雲殿」 それまで黙って話を聞いていた義経が、深々と頭を下げた。 義経「この義経からも、篤く御礼申し上げまする。我が義父・勝頼殿の北条家に対する、数々の不義理……早雲殿のご尽力、この義経、感謝の言葉もございません」 早雲「おお、義経殿。どうか、頭をお上げくだされ」 早雲は、穏やかに言った。 早雲「義経殿も、お継父上勝頼殿や梓殿の手前、気苦労が絶えぬであろう。 しかし、義経殿がお気にされずとも大丈夫でござる。拙者も、頼朝殿の御ために尽くすことに微塵の迷いもござらぬゆえ。 それよりも、梓殿はこの我が軍団にとっても、そして、義経殿、貴殿自身にとってもなくてはならぬ、大切な女将じゃ。このことに、異を唱える者は、我が軍団には、誰一人おりますまい。勝頼殿が、梓殿のお父上であるからといって、梓殿の我が軍団における大切さが、些かも打ち消されることなど、決してござらぬ」 義経「……早雲殿。この義経、まことに、感じ入ってござる。お言葉、身に染みまする……」 義経は、義父勝頼の数々の不義理な行動を考えずにはいられなかった。ただ、梓の心情を思うと、早雲の大局観がありがたかった。 彼は、早雲に深く頭を下げる。 早雲「義経殿、どうか頭をお上げくだされ。 確かに、北条氏政も、武田勝頼殿には、ただならぬ憤りを覚えておろうが…… 実際のところは、北に佐竹や伊達といった厄介な相手を抱え、また徳川とも常に小競り合いを続けておる。西の武田、北の上杉と、いつまでもいがみ合っている余裕など、実際はないのじゃ。 我々がその大義名分を与え、北条を助けてあげてるのでござるよ、がははは!」 早雲は豪快に笑って義経に応えた。 早雲「……わしも、秀長の前では、年甲斐もなく、厳しく当たってしまうがな」 早雲は、苦笑した。 早雲「しかし、我が軍にとっても、甲斐・信濃・越後、何より関八州の安定は、織田・徳川と対峙してゆく上で、必要不可欠。この早雲も、重々、わきまえておりまするぞ」 義経は、改めて、この老将の器の大きさと、深い洞察力に、感服していた。 |
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